「好きなことをする時間がない」「以前は楽しめたことにも気持ちが向かない」と感じていませんか。趣味は単なる気晴らしではなく、日々のストレスからいったん離れたり、人とのつながりを持ったり、自分らしい時間を取り戻したりするきっかけになります。ここでは、趣味と心の健康の関係を研究で示されている知見とともに整理し、趣味が楽しめないときに考えたいことについても解説します。
趣味の時間は「わがまま」ではないのですか?
趣味や余暇を楽しむ時間は、仕事や家事を怠けるためのものではありません。自分が楽しめる活動を日常に取り入れることは、ストレスから離れ、心身を回復させる時間として役立つ可能性があります。
仕事や家族のことを優先していると、「自分のために時間を使うのは申し訳ない」と感じることがあります。しかし、休むことや楽しむことも、心身のコンディションを保つうえで大切です。
研究では、趣味、スポーツ、自然の中で過ごすこと、人と交流することなど、さまざまな「楽しい余暇活動」を行っている人ほど、心理的・身体的な健康状態が良好であることが報告されています。ただし、この研究は余暇活動と健康状態の関連を調べたものであり、「趣味を持てば病気を予防できる」と直接証明したものではありません。
大切なのは、趣味を新たな「やらなければならないこと」にしないことです。自分が無理なく楽しめる範囲で取り入れることがポイントです。
趣味にはストレスを和らげる効果がありますか?
楽しい余暇活動には、日常のストレスから一時的に距離を取り、気分を切り替える時間をつくる働きがあります。特に、自分から選んで楽しめる活動であることが、心の回復にとって重要です。
たとえば、仕事中はメールや人間関係、締め切りなどに意識を向け続ける必要があります。一方で、読書や音楽、料理、散歩などに集中している間は、仕事とは異なることに注意を向けることができます。
2009年に発表された研究では、さまざまな楽しい余暇活動を行う頻度が高い人ほど、ポジティブな心理状態や生活満足度が高く、抑うつやネガティブな感情が少ないことが報告されています。また、血圧やコルチゾールなど、健康に関連する生理的指標との関連も確認されました。
ただし、趣味は医療的な治療の代わりになるものではありません。強いストレスや不安、気分の落ち込みが続いている場合は、趣味だけで解決しようとせず、必要に応じて専門家に相談することも大切です。
仕事とプライベートの切り替えが難しいと感じている場合は、仕事とプライベートを切り替えるための考え方も参考になります。
趣味で孤独感を和らげることはできますか?
趣味は、同じ関心を持つ人と自然につながるきっかけになります。孤独感そのものをなくすわけではありませんが、共通の興味を通じて人と関わることで、社会とのつながりを感じやすくなる場合があります。
たとえば、次のような活動があります。
- 読書会や勉強会に参加する
- スポーツや運動のサークルに参加する
- 手芸や料理などの教室に通う
- 音楽や合唱などを一緒に楽しむ
- オンラインの趣味コミュニティで交流する
人とのつながりは、心身の健康とも深く関係しています。WHOは2025年の社会的つながりに関する報告書で、孤独や社会的孤立が健康やウェルビーイングに深刻な影響を及ぼすことを示しています。
ただし、「人と交流する趣味を持たなければならない」という意味ではありません。人付き合いに疲れやすい方にとっては、一人で静かに楽しめる趣味も大切な時間になります。
趣味は自己肯定感を高めるのに役立ちますか?
趣味を続ける中で感じる「できた」「少し上達した」という経験は、自分の能力を実感する機会になります。仕事のように他人から評価される必要がないため、結果よりも過程を楽しみやすい点も趣味の特徴です。
たとえば、次のような小さな経験でも構いません。
- 初めて料理を完成させた
- 読みたかった本を一冊読み終えた
- 楽器で一曲演奏できた
- 少し長い距離を散歩できた
- 描いた絵を自分なりに気に入ることができた
こうした経験は、「自分にもできる」という感覚につながることがあります。
一方で、趣味を「上達しなければ意味がないもの」にしてしまうと、かえって負担になることがあります。SNSなどで他人の成果と比較しすぎず、自分が楽しめるペースを大切にすることが重要です。
どんな趣味なら心の健康に良いのでしょうか?
心の健康のために、特定の趣味を選ばなければならないわけではありません。重要なのは、その活動が自分にとって心地よく、無理なく続けられるかどうかです。
たとえば、次のような活動があります。
- 読書や映画鑑賞
- 音楽を聴く・演奏する
- 絵を描く、写真を撮る
- 料理やお菓子作り
- 散歩や軽い運動
- ガーデニング
- ゲーム
- 手芸やDIY
- 自然の中で過ごす
- 友人と好きなことについて話す
「趣味らしい趣味」を持っていなくても問題ありません。コンビニまで散歩する、好きな音楽を聴く、料理を楽しむなど、日常の中で気分転換になる活動も余暇の過ごし方の一つです。
また、趣味を始めても「楽しまなければ」と頑張る必要はありません。今の自分に合うものが見つからなければ、いくつか試しながら自然に続けられるものを探していけば十分です。
趣味を楽しめなくなったときは、どうすればいいですか?
以前は好きだったことに興味が持てなくなったり、何をしても楽しいと感じられなくなったりしている場合は、単なる「趣味が変わった」ということだけではなく、心身の疲れが関係している可能性があります。
特に、次のような変化が続いている場合は、自分の状態を振り返ってみましょう。
- 以前好きだったことにも興味がわかない
- 何をしても楽しめない
- 何かを始める気力が出ない
- 疲れやすく、休んでも回復した感じがしない
- 気分の落ち込みや不安が続いている
- 仕事や家事、人との関わりにも支障が出ている
「何もしたくない」という感覚については、何もしたくない・無気力になるのはなぜ?でも詳しく解説しています。
趣味は心のセルフケアとして役立ちますが、強い不調が続いている場合は、それだけで対処する必要はありません。たとえば、気分の落ち込みや興味・喜びの低下などが2週間以上続いている場合や、日常生活に影響が出ている場合は、カウンセラーや医療機関などの専門家に相談することを検討してみてください。
オンラインカウンセリングでは、どのようなことを相談できますか?
オンラインカウンセリングでは、ストレスや気分の落ち込み、不安、人間関係、仕事の悩みなど、日常生活の中で抱えているさまざまな困りごとについて相談できます。自宅など落ち着ける場所から、自分のペースで話せることもオンライン相談のメリットです。
「何がつらいのか自分でもうまく説明できない」という場合でも、相談できます。カウンセラーとの対話を通して、今感じていることや悩みの背景を整理し、何が負担になっているのかを一緒に考えていきます。
たとえば、次のような悩みを相談できます。
- 仕事のストレスや疲れが続いている
- 不安や心配が頭から離れない
- 気分が落ち込み、以前のように楽しめない
- 人間関係で悩んでいる
- 自分の気持ちを整理したい
- これからどう対処すればよいのかわからない
趣味を楽しむ余裕がなくなっていることも、現在の心の状態を知る一つの手がかりになります。「最近、何をしても楽しくない」「以前好きだったことにも興味がわかない」と感じている場合も、その変化を含めて相談できます。
Otulikaでは、オンラインでカウンセラーに相談できます。サービスの詳細はオンラインカウンセリングのサービス内容からご確認いただけます。
よくある質問
趣味がないと、心の健康に悪いのでしょうか?
趣味がないこと自体が、心の健康に悪いわけではありません。ただし、仕事や義務以外の時間がほとんどなく、リラックスしたり楽しんだりする機会が少ない状態が続いている場合は、休息や余暇の時間を意識的につくることが役立つ場合があります。
忙しくて趣味をする時間がありません。どうすればいいですか?
まとまった時間を確保できなくても問題ありません。数十分でも、好きな音楽を聴く、散歩する、本を読むなど、自分で選んで楽しめる時間をつくるところから始めてみましょう。大切なのは時間の長さだけではなく、その時間に仕事や義務からいったん離れられることです。
一人でできる趣味でも心の健康に役立ちますか?
はい。一人でできる趣味でも、気分転換やリラックスのための時間になる場合があります。人との交流を伴う趣味だけが有効というわけではありません。自分が安心して楽しめる活動を、自分のペースで取り入れることが大切です。
趣味をしているのに気分が落ち込みます。どうすればいいですか?
趣味があっても気分の落ち込みや不安が続くことはあります。以前楽しめていたことへの興味がなくなった状態が続いている、生活に支障が出ているなどの場合は、趣味だけで対処しようとせず、カウンセラーや医療機関などに相談することを検討してください。
カウンセリングで趣味について話してもいいですか?
もちろんです。カウンセリングでは、悩みだけでなく、日常生活で感じている楽しさや興味の変化についても話すことができます。何が自分にとって心地よいのかを整理することが、心の状態を理解するきっかけになる場合もあります。
趣味を通じて人と交流するのが苦手です。無理に参加したほうがいいですか?
無理に人と交流する必要はありません。読書、音楽、散歩、料理など、一人で楽しめる活動から始めても大丈夫です。人とのつながりが負担になっている場合は、自分にとって安心できる距離感を優先してください。
出典
- Pressman SD, Matthews KA, Cohen S, Martire LM, Scheier M, Baum A, Schulz R. Association of enjoyable leisure activities with psychological and physical well-being. Psychosom Med. 2009 Sep;71(7):725-32. doi: 10.1097/PSY.0b013e3181ad7978.
- Acar, Selcuk & Tadık, Harun & Myers, Danielle & Sman, Carian & Uysal, Recep. (2020). Creativity and Well‐being: A Meta‐analysis. The Journal of Creative Behavior. 55. 738-751. 10.1002/jocb.485.
- 厚生労働省. 自殺対策. https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/
- Holt-Lunstad, J., Smith, T. B., & Layton, J. B. (2010). Social relationships and mortality risk: A meta-analytic review. PLOS Medicine, 7(7). https://journals.plos.org/plosmedicine/article?id=10.1371/journal.pmed.1000316
- Steptoe A, Dockray S, Wardle J. Positive affect and psychobiological processes relevant to health. J Pers. 2009 Dec;77(6):1747-76. doi: 10.1111/j.1467-6494.2009.00599.x.
「最近、好きだったことを楽しめない」「何をしても気分が晴れない」「自分の状態について誰かに話してみたい」と感じているなら、カウンセリングを利用することも選択肢の一つです。オンラインなら、自宅など落ち着ける場所から相談できます。
Otulikaのサービスについて詳しく知りたい方は、オンラインで相談できるカウンセラーを探すからご確認いただけます。
また、Otulikaのオンラインカウンセリングについて知りたい方は、日本向けのオンラインカウンセリングサービスもご覧ください。
