認知行動療法(CBT)は、何回通えばいいのか、どのくらいの期間がかかるのか、気になっている方は多いのではないでしょうか。一般的に、認知行動療法は12〜20回のセッションを目安に進められることが多く、週1回のペースで行うと、おおよそ3〜5か月ほどで一区切りとなります。ただし、扱うテーマや症状の種類によって回数は変わってきます。うつ病や不安障害であれば比較的短期間で成果が出やすく、長年の生きづらさや複雑なトラウマがある場合はより長い期間が必要になることもあります。この記事では、認知行動療法の回数と期間の目安、セッションがどのように進んでいくかについてわかりやすくご説明します。カウンセリングを初めて検討している方にも参考にしていただける内容です。
認知行動療法とはどんなアプローチ?
認知行動療法(CBT:Cognitive Behavioral Therapy)は、思考のパターンと行動の関係に注目した心理療法です。私たちが感じる不安やつらさは、出来事そのものよりも、その出来事をどう解釈するかによって大きく左右されます。CBTでは、その「考え方のクセ」に気づき、少しずつ柔軟な見方へと変えていく練習を、カウンセラーと一緒に行います。
たとえば、職場でミスをしたとき、「自分はいつもダメだ」と感じてしまう方がいます。そのような思考が積み重なると、だんだん気力が落ちたり、出社が怖くなったりすることがあります。CBTでは、このような自動的に浮かぶ考え(自動思考)を丁寧に見つめなおし、より現実的な見方を育てていきます。
CBTは1960年代にアーロン・ベックによって体系化され、現在では世界中で最も研究された心理療法の一つです。日本でも厚生労働省がうつ病や不安障害への有効性を認めており、保険診療の対象となっています。
認知行動療法の回数と期間の目安
CBTのセッション回数は、一般的に12〜20回が標準的な目安とされています。週1回・1回50〜60分のペースで進めると、約3〜5か月で一つの区切りを迎えることが多いです。これはあくまでも目安であり、担当カウンセラーと相談しながら柔軟に調整されます。
症状や目標によって、以下のように大きく異なります。
- うつ病・軽度〜中等度:12〜16回程度。比較的早い段階で変化を感じやすいです。
- パニック障害・社交不安障害:12〜16回。特定の状況への慣れ(曝露療法)も組み込まれます。
- 強迫性障害(OCD):16〜20回以上かかることもあります。
- 慢性的な生きづらさ・複雑なトラウマ:20回を超えて続けることもあります。
2021年にLancet Psychiatryに掲載されたメタ分析では、CBTはうつ病に対して平均16セッションで有意な改善効果を示したと報告されています。回数が多ければよいわけではなく、自分のペースに合った進め方が大切です。
セッションはどのように進んでいくの?
CBTには大まかな流れがあります。最初の1〜3回は「アセスメント」と呼ばれる段階で、カウンセラーが現在の状況や悩みの背景を丁寧に聞き取ります。診断を下すというよりも、「今どんなことで困っているのか」を一緒に整理する時間です。
4〜10回ほどの中盤では、CBTの中心的な作業が始まります。思考記録(コラム法)と呼ばれる方法で、日常の中で感じた感情と、そのときの考えを書き留めていきます。セッションの間には、小さな「ホームワーク」に取り組むことで、日常生活の中でも練習が続けられます。
終盤(11〜16回以降)では、学んだスキルをより幅広い場面に応用し、再発予防の計画を一緒に立てます。カウンセリングが終わっても自分で対処できる力を育てることが、CBTの大きな目標の一つです。終了はゴールではなく、あなた自身が主役になるためのスタートとも言えます。
オンラインCBTの場合は変わる?
近年は、ビデオ通話を使ったオンラインカウンセリングでもCBTが受けられるようになっています。回数や期間の目安は対面と基本的に同じですが、自宅で受けられる点で、忙しい方や外出が難しい方にとってはハードルが下がります。
2020年にJAMAに掲載された研究では、オンラインCBTは対面CBTと同等の効果を持つことが示されており、アクセスのしやすさという点でも注目されています。
日本では、職場の近くにカウンセリングルームがない、通院していることを周囲に知られたくないという方も少なくありません。オンラインであれば、自分の部屋から、好きな時間に予約できます。プライバシーが守られる環境で、安心してセッションに臨んでいただけます。
料金はどのくらいかかる?
日本でのカウンセリング費用は、1回あたり¥5,000〜¥12,000程度が相場です。医療機関でのCBTは保険適用になる場合があり、自己負担が軽減されることもあります。民間のカウンセリングルームやオンラインプラットフォームでは自由診療となるため、料金はサービスによって異なります。
16回を目安に試算すると、1回¥8,000の場合は合計¥128,000前後になります。一度に全額を用意する必要はなく、月に4回のペースであれば月々¥32,000程度です。初回相談を無料または低価格で提供しているサービスも多いので、まずは話を聞いてみるだけでも一歩になります。
費用面が気になる方は、最初の相談時にカウンセラーに率直に伝えることで、無理のないペースを一緒に考えてもらえることもあります。
CBTが向いている人・向いていない人
CBTは特に、うつ病・不安障害・パニック障害・強迫性障害・不眠などに対して高いエビデンスがあります。「考えすぎてしまう」「同じ悩みを繰り返す」「特定の状況がどうしても怖い」と感じている方には、取り組みやすいアプローチです。
一方で、CBTはある程度「自分の考えや気持ちを言語化する」作業が伴います。深刻なトラウマや複雑な背景がある場合は、まず安心できる関係性を築くことから始めるアプローチが向いていることもあります。カウンセラーと一緒に、自分に合った方法を探すことが大切です。
「CBTが合うかどうかわからない」という方も、初回の相談で率直にそのことを伝えてみてください。一人ひとりの状況に合わせて、柔軟に提案してもらえるはずです。
よくある質問
認知行動療法は何回で効果が出ますか?
個人差はありますが、多くの方が4〜8回のセッションを終えたあたりから、少しずつ変化を感じ始めると言われています。2021年のLancet Psychiatryのメタ分析では、うつ病に対して平均16セッションで有意な改善が確認されています。効果はゆっくり積み重なるものなので、焦らず進めることが大切です。
認知行動療法 回数 期間はどれくらいが一般的ですか?
一般的には12〜20回・週1回のペースで、3〜5か月が目安です。症状や目標によって短くなることも、長くなることもあります。最初の数回で担当カウンセラーと一緒に目安を確認するとよいでしょう。
途中でやめてもいいですか?
もちろんです。カウンセリングはいつでも中断することができます。ただ、途中でやめる場合は担当カウンセラーに一言伝えると、次のステップについてアドバイスをもらえることがあります。「やめたい」という気持ち自体も、カウンセラーに話してみると新しい気づきにつながることがあります。
ホームワークが難しそうで不安です
CBTのホームワークは、難しい課題ではありません。最初は「今日感じた気持ちをメモする」程度の小さなものから始まります。できなかったときも責める必要はなく、「なぜできなかったか」を一緒に考えることがセッションの内容になることもあります。
オンラインのCBTは対面と同じ効果がありますか?
2020年にJAMAに掲載された研究では、オンラインCBTは対面CBTと同等の効果を持つと示されています。自宅からリラックスした状態で受けられるため、人によってはオンラインの方が話しやすいと感じることもあります。
カウンセリングを受けていることを職場に知られますか?
オンラインカウンセリングであれば、職場や家族に知られる心配はほとんどありません。予約・決済・セッションはすべてオンラインで完結するため、プライバシーは守られます。領収書の表記なども、事前にサービスに確認してみるとよいでしょう。
CBTと薬物療法はどちらがよいですか?
どちらが「よい」かは一概には言えません。症状の種類や程度によって、薬物療法・CBT・またはその組み合わせが選ばれます。国立精神・神経医療研究センターの情報でも、中等度以上のうつ病では両方を組み合わせることが推奨されています。主治医やカウンセラーと相談しながら決めていくのが一番です。
出典
- Cuijpers, P., et al. (2021). Cognitive behaviour therapy vs. control conditions, other psychotherapies, pharmacotherapies and combined treatment for depression: a comprehensive meta-analysis. World Psychiatry. https://doi.org/10.1002/wps.20860
- Linardon, J., et al. (2020). The efficacy of app-supported smartphone interventions for mental health problems: a meta-analysis of randomized controlled trials. World Psychiatry, 19(3). https://doi.org/10.1002/wps.20790
- Carlbring, P., et al. (2018). Internet-based vs. face-to-face cognitive behavior therapy for psychiatric and somatic disorders: an updated systematic review and meta-analysis. Cognitive Behaviour Therapy, 47(1). https://doi.org/10.1080/16506073.2017.1401115
- 厚生労働省. (2022). うつ病の認知療法・認知行動療法 治療者用マニュアル. https://www.mhlw.go.jp/bunya/shougaihoken/kokoro/dl/01.pdf
- 国立精神・神経医療研究センター (NCNP). 認知行動療法センター. https://www.ncnp.go.jp/cbt/
- 世界保健機関 (WHO). (2022). World Mental Health Report: Transforming Mental Health for All. https://www.who.int/publications/i/item/9789240049338
- Beck, A. T. (1979). Cognitive therapy and the emotional disorders. Penguin Books. (認知行動療法の基礎理論として広く参照される)
もし認知行動療法に興味を持っていただけたなら、一度カウンセラーと話してみるのも一つの方法です。「自分に合うかどうか」を確認するだけでも、きっと新しい気づきがあります。Otulikaでオンラインカウンセリングを予約する
